(1) 改築工事
現在の建物は、昭和43年6月に改築され、平成14年2月に大規模改修工事が行われたものであるが、築53年を過ぎたことで壁の亀裂、雨漏れ、排水管の腐食、配電設備の故障等が頻発している。
このような状況の下、居住環境の改善と地域に開かれた施設として、機能するべく法務省の更生保護施設大規模整備事業計画の決定を受け、令和4年度に更生保護事業振興財団及びJKAの補助を受け、施設の全面改築を計画している。
しかし改築事業を完遂するには多額の資金を必要とするので、更生保護事業の理解を得ながら寄付金集めに努めているところです。
(2) コロナ対策
これまで、当会においては、玄関先での消毒、マスク着用のほか、3密を避ける様々な対策を講じているが、非常事態宣言中はSSTなど各種の行事を中止している。
(3) フォローアップの状況
これまで元寮生のフォローアップは月20件程の来訪と電話であるが、各人からの相談や悩み事、現況報告等は相応の効果があると認められる。
しかし、コロナ感染が収まらない現状から様々な変化、例えば雇止め、解雇、外出や人込みを避けることによる孤独・孤立等の影響によりフォローアップ事案数は減少傾向にある。今後はアウトリーチにもチカラを入れ、積極的な架電や訪問の実施を検討している。
(4) 再犯防止策
再犯者による犯罪を減少させるため、刑務所出所者の「居場所」と「出番」を確保していくことが国の政策として実施されてきたが、未だ再犯者率は高く、また、出所後2年以内の再犯率も僅かな減少にとどまっている状況である。
当会では「居場所」を確保させるため、早期の就労と勤務継続を指導しながら貯金に努めさせて自立することを目標に処遇しているが、浪費癖や虚言癖が改善されない者も少数であるが存在している。彼らの成育歴を見ると共通しているのが、幼少期から青年期までの不遇体験(両親の離婚、受入れ先がなく児童福祉施設での生活、叔父・叔母からの邪魔者扱い、親からのDV, 家出、学校等で虐めに遭う、不登校、不良交遊、薬物依存)があり、成人しても、人からの指導を拒み、聞く耳を持たず、信頼できる人も周囲に居ない、といった負因を持つ者も少なくない。
また、最近の入所者を見ると、精神面での障害を有する者、アルコール・薬物依存者、性犯罪者、同姓愛者も増加傾向にある。これらの者に対して、処遇を通じて心を開かせ改善更生をさせていくには困難を伴うが、全役職員が一丸となって取り組んでいる。
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